
目指すのは、無理なく自然な脱炭素化 これまでの常識を超えるグリーンイノベーションへ
PowerPilotは、GXビジネスラボから生み出された、中小規模建物に適した空調省エネの機器システム、制御運用、効果評価手法から、マーケティング、エンジニアリング、サプライチェーンまで、省エネサービスの社会実装と普及課題を解決するためのソリューションパッケージです。パートナー事業者様との共創を通じて、新たなGXビジネスの創出に取り組んでいます。
中小規模建物の省エネ課題
中小規模建物への省エネサービスの普及は、脱炭素化社会の実現に向けて重要です。従来の省エネシステムは経済性等から導入建物が限られ、建物の電力使用でウエイトの大きい空調の省エネ運用は、多くの建物で人に依存している実態にあります。
室外機使用電力の”減らす化”DX
PowerPilotは、業務用エアコン*を対象に、空調室外機の出力リミッターのコントロールのみで快適性に影響しない電力使用量を削減する”減らす化”DXを提供します。
30分間の使用量を削減する仕組みで、朝の立ち上げやピーク時のような急激な出力上昇や室温安定時の出力変動など、室温に影響しない電力を削減し、自然とピークカットにもつながります。
*対象:業務用空調(EHP)のマルチタイプ(室外機1台で複数の室内機を運転管理)
省エネ制御システム構成(30分サイクル制御)
クラウド上で制御モードを遠隔設定し、オンサイトの制御端末で常時制御するIoTシステムです。空調室外機の出力リミッターを30分サイクル(例:出力上限50%を15分間/30分間)で作動させ、30分間の使用量(デマンド)を削減します。季節別や気象状況で制御モードを調整し、室温に影響しないレベルでピークなど急激な出力上昇を緩和し、室温安定時の過剰な出力を削減します。
この省エネ制御方式は、エアコンの設定温度と室温のシステム調節などエアコン製品のフィードバックシステムに介入しません。このため、設定温度や風量調節などのユーザーのエアコンの操作性は変わらず、これまで通り自由に調整いただけます
後付け導入に適したコンパクト設備
屋外の室外機に無線タイプの制御端末を取り付けます * 建物の規模によって機器の構成は異なります
・室外機から電源を取得するため、電源の配線工事等は不要です。
・室内作業がないため、平日の日中での施工が可能です。
・導入工事は、1日から2日です。建物の形状や取付台数で作業時間は異なります
建物電力の気温感応度が低下
これまでの実証試験では、省エネ制御によって、建物の電気使用量・デマンドの気温感応度が低下し、室外機の電力消費を20-30%下げる効果が得られています。
30分間あたりの電力使用量と二酸化炭素排出量を削減する仕組みによって、建物のピークデマンドも自然と削減されます。
期待省エネ効果と地域社会の脱炭素化
PowerPilot25が提供するGXソリューションでは、これまでの実証試験から空調電力使用量の20-30%削減が期待できます。建物の電気料金・CO2を削減し、RE100化対象の電力使用量を減らことがで切るため、コストを減らしながら脱炭素化への取り組みを支援します。
都市部の建物屋上への太陽光発電設置の経済性は難しいですが、ビル屋上の室外機の省エネシステムは、ネガワットジェネレーターとして、電気の使用量(二酸化炭素の排出量)を削減し、負荷追従型の再エネ発電所と同等の非化石価値*を創出するともいえます。
地域社会の脱炭素化ソリューションとして汎用性が高く、地域の電力需給構造の改善にもつながるGXソリューションとして期待できます。
*一棟平均30KWのピーク削減効果が得られる建物1万棟への普及は、30万kWの太陽光発電所に相当と試算
建物実証試験
(2022-2024)
東工大(現在、東京科学大)での研究において、一般の小規模事務所ビルを対象に空調室外機の省エネ制御の実証試験を行いました。
対象建物の電力需要の年間ピーク(2022年8月)に対して、空調室外機の省エネ制御装置を取り付け、2023年7月24日から制御を開始し、夏季ピーク時期の制御効果・影響を計測・分析しました。
2023年夏は2022年に比べ猛暑でしたが、8月の前年比較では建物電力の基本料金に影響するピークデマンドは25%削減し、使用量は夏季日中の高い料金時間帯の使用量が7%削減しました。また、省エネ制御に伴う室温上昇等の悪影響は見られず、室温影響のない省エネ制御運用が検証されました。
経過観測を続けた2024年8月実績においても2023年と同様の成果が得られ、経済効果の高いシステム・運用の有効性と安定性が確認できました。
<2023年夏季ピーク>
- 建物の1日の電力需要カーブの変化
省エネ制御によって朝と午後一のデマンドの急上昇が消失.室外機のデマンドは台形状に変化した.
- 8月の建物電力の制御前(2022)と制御後(2023)の比較
・制御によって,建物の最大デマンドの最高気温の感応度が高気温領域で変化した.
・電力カーブの急峻な上昇がなくなり,8月(2022年の年間ピーク)の最大30分デマンドは25%低下した.
- 室温(平日業務時間5分毎)の度数分布
制御前2週間(青 ),制御後2週間(赤)
建物の執務3フロアにおいて,省エネ制御よる室温上昇はみられなかった. (注)エアコンの設定温度・風量調節は自由
- 建物の1日の電力需要カーブの変化
<2024年夏季ピーク>
- 8月の前々年同月比較 (2024年8月と制御前の2022年8月)
・制御によって,建物の最大デマンドの最高気温の感応度が高気温領域で変化.2023年実証試験と同様の結果が得られた.
・2022年8月の最大30分デマンドから26%低下.2023年実証試験とほぼ同様の結果が得られた.
- 室外機出力と対応フロアの室温
※エアコンの設定温度・風量等のユーザー調整は自由
・2024年夏(東京)で最も気温が高かった7月29日(月)の室外機の出力と対応するフロアの室温の推移をグラフ化(5分毎).
・室外機の出力はサイクリックに削減されているが,業務時間中の室温は28℃以下に保たれ,執務環境への悪影響はなかった.
- 建物電力3年分のデータの分布変化(平日データ、1月1日から9月30日)
(注)2022年(緑)は制御なし、,2023年(青)は制御有無が混在, 2024年(赤)は全期間で制御.
・1日の建物最大デマンド, 使用量ともに,制御なしの2022年から,空調使用の多い高気温・低気温領域で大きく低下した.
・ピークカットだけでなく,年間を通じて省エネ効果(使用量・CO2)が得られた.
- 8月の前々年同月比較 (2024年8月と制御前の2022年8月)